2008年08月19日

仮想

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いつもたくさんの車輪組み立て依頼をいただいております。本当にありがとうございます。バンバン組み立てるぞ〜と意気込むものの、またしてもパーツがありません。リムがない。ハブもない。とあるお客様はご指定のリムがないので第二希望に変更していただきました。で、今度はハブがないのでこれも第二希望に。さらにはその第二希望のハブもない。結果注文キャンセルに…。売り逃がしたのが残念というより、せっかくきて発注いただいたお客さんを裏切る結果に残念でなりません。写真のリムが7本、ハブが5個、これで組み立てできたのはたった1本にすぎません。あとはリムかハブが足りないので組み立てできません。まったく昨今のパーツ供給の悪さ、過去にも書きましたが一向に改まる気配がありません。それどころかプラス値上げまで加わって状況は悪くなっているような…。自分はまったく悪くないんだ、困るな〜という外野的ポジションではなく、その原因を構成している一員として自戒を含めて分析してみます。

まず、いろいろな要因が重なっているのだと思いますが、そのひとつに各社が取り入れているWEB発注システムがあると思います。発注方法が単にFAXからWEBに変わっただけですが、小売店は今までより気軽に少量発注が可能になりました。気になるのは送料がかかる最低金額ぐらいです。何よりクリックで翌日到着するのですから、店に売れるか売れないかわからないもの並べておくリスクを回避できのですから、そりゃ便利です。ですが、そもそもリアルストアのメリットはお客さんに店主がすすめる商品を並べておいて、詳細説明やセッティングなど付帯サービスでもって販売する、だったはず。ところが、在庫あるいは店舗すら持たない仮想店舗が台頭してきたこともあり、ショップ心理として無駄な在庫は「悪」とスリムに効率よくビジネスを展開したいと思うようになりました。何しろこの不透明な時代、「何が売れるかわからない」「とりあえずトレンドに乗っておく」といった消極的心理がすっかり染み付いてしまいましたからね。その心理とこの新発注システムはまさに相性バッチリ。問屋での在庫はリアルタイムでWEBで確認できますから、問屋の在庫イコール店の在庫と錯覚していた。これが一因だと思います。

以下も以前書きましたが、お客さんがとある商品を買おうかな、とアクションを起こすのはランダムではなく、全国でほぼ同時に同じような消費活動が発生するものです。全国のショップが一斉に「仮想在庫」の出荷ボタンをクリックするのですから、メーカーあるいは問屋の在庫は潮が引くようになくなってしまうのも無理ありません。しかも全部の商品がまんべんなく動くのではなく、一部の「売れ筋」に集中する傾向があります。多品種少量生産商品の場合、このようなリスクがどうしてもつきものですが、理想的には上流から下流の流れ全体で在庫リスクをシェアする流通システムでなくてはならないでしょう。まず下流のショップは自店の立ち位置をしっかりととらえ、規模が小さいのに百花繚乱ではなく「この商品をこのお客さんにすすめる!」のように個性を出し、その商品をしっかりと在庫すべきでしょう。一方メーカーおよび問屋においては両者が在庫を補完するようなシステムが求められます。特に卸売り業については今後風当たりが強くなると思われます。パワーのある小売店は中抜き流通を考えるでしょうし、小規模店はべつにどこの業者でもかまわない開きなおりの流動性を持っているからです。現在小規模ショップの目の敵となっている大規模WEB通販ショップがその役割を担うことも可能性としてはゼロではありません。きのうの敵はきょうの友、まさに流通クライシスです。

実際のところ今後どうなるかはわかりませんけど…。まあ、当店のような小規模店がやることといったら、マルチディスプレイにいくつものブラウザ立ち上げてネットトレーダーのように「仮想在庫」を常に監視することぐらいですか。

「オッ、在庫が丸から三角になったぞ」
「やっぱり、チマタではこれが動いているんだな」
「じゃあ、そろそろ買いだな」
「いや、あと数個あるはずだからギリギリまで待つか」
「チキショウ、迷っているあいだに他のショップに取られちまったぜ」
「こうなりゃ、メーカー勤務の知り合いに在庫聞いてみよう」
「そういやヤツはこのあいだインサイダーで捕まっちまったんだよな」
「オッ、違う問屋から先物取引のお知らせだ」
「指定の期日に売れ筋商品を確実にお届けしますだと。自転車パーツもついに金融商品になったか」
「今度は先物を監視しなくっちゃならないぜ、まったくめんどくせーなー、自転車なんかいじっている時間もありゃしねー」

ちなみに上記、当店が実際にやっているわけありません。仮想話ですよ。念のため。


posted by 店主 at 19:04| 日記 | 更新情報をチェックする
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